前書き
貧困を無くすことは、人類共同の使命です。中国は最大の発展途上国として、貧困を無くすために懸命に取り組んできました。2019年末現在、中国の農村貧困人口は2012年末の9,899万人から551万人まで減少しました。貧困発生率は2012年の10.2%から0.6%まで下がり、中国は世界の貧困減少に対して70%以上を貢献し、国連の千年発展目標の実現に重要な貢献を寄与しました。
世界の観光業が急速に発展する中、観光業と社会経済の融合程度は次第に深まり、ツーリズムは旅行者によりいい生活をもたらすと同時に、より大きな規模とかつてない責任意識を通じて、貧困削減事業にますます貢献しています。文旅産業は中国の貧困扶助の重要な構成部分として、次第に補助役から中堅勢力になってきました。中国の観光貧困削減の経験は、世界範囲内の観光貧困削減事業に対して手本となる積極的な意義があります。
本展は貧困扶助地特有の観光資源と原始的な民族文化、生産生活の写真を展示することで、全方位、多角度の視野を通して現地の貧困扶助モデルとその発展過程、そして住民の精神風貌と観光貧困扶助の成果をリアルかつ立体的に表現しています。中国では、観光を発展させ貧困脱却を実現したケースがまだたくさんあります。世界各地の友人達が中国の津々浦々を訪問し、一味違う観光による貧困扶助の中国物語を体感することを歓迎します。
中国河南省三門峡市北営村陝州地坑院風景区
陝州地坑院は中国河南三門峡市張汴郷の北に位置する村で、中国ひいては世界最古の民家様式です。2016年より対外に開放され、年間平均80万人の観光客を誘客し、年間観光収入は2500万元に上りました。風景区と北営村は共に地坑院(地下の四合院とも言われる)観光資源を頼りとし、農村観光を手掛かりに、「産業が支えとなり、労働者の増収を実現する」貧困脱却経路を制定し、「貧困者を優先的に採用し、人のために働き場を造りだす」趣旨を貫き、北営村に対する貧困支援を強化しました。2016年以来、北営村の96世帯の農民が観光地の「百味巷」に配属され飲食業に従事し、69世帯の農民が「百芸苑」にて小売商売を経営することとなり、清掃作業員、安保部門には北営村の216人の村民の就職を受け入れました。千人未満の北営村のほとんどの世帯が農村観光関連の仕事に従事しており、北営村の年間観光業収入は400万元で、一人当たりの年間観光業の収入は4000元の増収を実現しました。北営村の13戸の貧困世帯の15の労働力がすべて観光地で就業して、労働力の移転率が100%に達し、全ての貧困を無くすことを順調に実現しています。
中国江西省上饒篁嶺村
中国江西省婺源県江湾鎮篁嶺村は580年余りの歴史があり、「崖に掛かった古村」と称されています。10年前、村の180世帯あまりが次々と村を出てから68世帯が残りました。その頃の篁嶺村には空き家が増え、田畑は荒れていました。篁嶺村観光地は「参加式貧困扶助」を率先に創りだし、村民に観光発展に参加させ、観光発展の受益者へと転換させました。篁嶺古村の開発は「輸血(援助)」と「造血(創生)」のほかにも、地元の貧困世帯が主体となり、 村民が故郷の計画、古村建設と観光地区の運営に全面的に参与することで刺激を与え、多数の村民の参与権を保証しました。現在、古村は1日当たり観光客が最高3万人に達する4 A級観光地となり、かつて出稼ぎの為に村を出ていった青壮年の90%が村に帰って起業或いは就職し、村民の年間1人当たりの収入は以前の3500元から3.5万元まで引き上げられました。2017年に篁嶺村の観光客数は初めて百万の大台を突破し、2019年には144万に達し、農村観光の人気観光地となり、農村貧困扶助の“篁嶺モデル”を切り開いたのです。