11月4日、「茶のハーモニー・尋茶記」が黄檗宗大本山・萬福寺にて開催されました。このイベントは、隠元禅師の生誕432周年を記念した「隠元禅師大茶会」、茶文化体験エリアの展示、中国茶産地を巡る厳選ツアーコースの発表など多彩な内容で、茶愛好家や文化探求者を引き寄せました。秋色深まる中、千人を超える来場者が集まり、特別な文化体験を楽しみました。
萬福寺の「開山堂」庭園では、隠元禅師の渡来を象徴する「宝船」が静かに佇み、彼が煎茶や茶道の文化を日本に伝えた歴史を訪れた人々に語りかけているかのような光景でした。日差しが「尋茶記」の垂れ幕を通して差し込む中、境内にはほのかな茶の香りが漂い、静かで奥深い雰囲気が広がっていました。
この日、隠元禅師が日本に茶文化を伝えた偉業に敬意を表し、京都の各茶道流派から家元たちが集まるという特別な場が設けられました。「隠元禅師大茶会」と名乗る当儀典で、萬福寺の管長・近藤博道猊下と荒木将旭執事長が、宇治産の煎茶「青雫」と特製の烏龍茶「隠龍」を一杯一杯丁寧に献じられました。静かに漂う茶の香りに包まれた会場で、来場者はその豊かな香りを楽しみながら、茶道と禅の融合を感じ、一口ごとに「茶のハーモニー」を味わっておられました。
また、会場では中国駐大阪観光代表処による「茶のハーモニー・厳選ツアーコース」が発表され、出席者たちの関心を引いておりました。専門家の解説に耳を傾けながら、中国各地の茶産地の自然や風土について学び、浙江省の龍井茶、雲南省のプーアル茶といった銘茶を産地ごとに楽しむことができました。参加者の皆様が互いに感想を交換し合い、茶文化への興味を深めておられた姿が印象的でした。
より多くの日本の方々に「尋茶」旅の没入体験を提供すべく、萬福寺の国宝や重要文化財建造物群を舞台に、浙江省や福建省武夷山、雲南省の茶馬古道など特色ある茶文化体験エリアが設けられました。参加者の方々は、萬福寺に入る際に「尋茶マップ」を受け取り、古琴の調べに包まれた古建築を巡りながら、茶香をたどる旅に出ました。14の茶旅コースのスタンプを集めると、「茶のハーモニー・厳選ツアーコース」ガイドや記念品が贈られました。
特に浙江エリアでは、漢服を纏った先生が西湖龍井茶や径山茶を淹れ、浙江から取り寄せた特製の茶菓子と共に江南の情景を体験できる内容に。参加者は日本にいながら、本場の茶文化と風情を存分に楽しんでいました。
一方、福建エリアでは竹がしつらえられ、福建独自の茶器や淹れ方が紹介され、大紅袍や安渓鉄観音の試飲体験も行われました。
茶馬古道展示区も賑わいを見せ、プーアル茶や紅茶を味わえるほか、少数民族の伝統衣装の展示もあり、多くの来場者が記念撮影を楽しんでいました。
イベントの最後には、スタンプを集め終えた参加者にオリジナルのプレゼントが贈られ、中国の無形文化財である漆扇子の制作体験も提供されました。来場者の皆様は、自らデザインした扇子を手に、特別な思い出を胸に帰途につきました。
「茶のハーモニー・尋茶記」は文化庁や宇治市の後援を受け、日本黄檗宗大本山萬福寺、中国駐大阪観光代表処、日中茶文化交流協会の主催と浙江省文化観光庁や武夷山市文化体育観光局の協力を得て開催されました。訪れた人々は、この一日を通して茶の味わいを楽しむだけでなく、中国茶文化への理解と愛情を深めました。多くの日本の方々が「これからもこうした中国茶文化を体験する機会が増えてほしい」と期待を寄せ、中国の茶産地への旅を楽しみにしています。