重慶市は北京、上海、天津に続く中国4番目の中央直轄市です。もとは四川省に属していましたが、1997年に内陸部で初めて直轄市の指定を受けました。人口はおよそ3千万人で、長江上流の経済の中心地です。観光面では、「長江三峡下り」の起点となるほか、郊外には世界遺産の「大足石刻」と「中国南方カルスト」が知られています。
「長江三峡」とは、長江中流にある瞿塘峡、巫峡、西陵峡の三つの峡谷の総称です。大きな遊覧船でゆったりと観賞するクルーズが人気を集めています。
標準的なコースは、重慶で乗船し、湖北省の宜昌で下船する3泊4日のコースです。途中、数カ所の観光地に上陸しながらのんびりと船旅を楽しめます。
瞿塘峡には「白帝城」と呼ばれる楼閣があります。後漢時代の群雄・公孫述が築いた城で、三国志では蜀の劉備が呉との「夷陵の戦い」に敗れ、逃げ込んだ場所として知られています。劉備は後に病に倒れ、この城で生涯を終えました。
諸葛亮らに息子を託す「劉備託孤」は三国志の名場面の一つです。城は三方が長江に囲まれた高台にあり、雄大な川の流れと周囲の自然を一望できます。