北京原人遺跡は、北京市の中心部から南西に約50km の房山区周口店村龍骨山で、遺跡の科学考察作業は依然として行われています。
遺跡は2.4㎢にわたり、古代アジア大陸の人類社会の歴史的証拠であるだけではなくで、類人猿から現代人への進化過程を反映する遺跡であります。1923年スウェーデンの地質学者がここで人類のものと思われる歯の化石を発見しました。
さらにその後の調査で1929年中国の考古学者が完全な頭蓋骨を発見し、調査の結果約60万年前の直立人であることが証明され、北京原人(シナントロプス・ペキネシス)と名付けられました。また周辺からは頭蓋骨6点、歯157点など、約40体分の男女の化石や石器10万点、骨器などが発掘されました。
これらは今から約50万年-20万年前のものと推測されています。これらの出土品からこの人種が火や道具を使い、狩猟と採集で生活していたと考えられ、旧石器時代の貴重な遺跡として、生物進化や人類文化の研究に大きな影響を与えました。また、1933年には龍骨山の頂上付近の洞窟で1万8000年前のほぼ現生人類と変わらない「山頂洞人」と呼ばれる人種の化石が発見され、1973年には龍骨山北東の山腹で10万年前の「山頂洞人」と「北京原人」の中間ぐらいの進化を遂げた新たな人種の化石も発見されており、まさに人類の進化の縮図がここ周口店にあると言えます。