かつて中国の都市はどこも街そのものを城壁で囲っていたが、現在ではそのほとんどが撤去されてしまい、城壁が一部の都市に残るのみであります。
そんな中で「平遥古城」は城壁だけでなく、街並、商業施設の配置、役所や市場の位置などが当時そのままに保存されており、いわば街全体が城郭都市博物館ともいえます。城壁内部は、政務を司った建物を中心に4本の大通り、8本の裏通り、72本の路地によって巨大な八卦の図案を形成しています。紀元前827~782年の西周時代に築城され、2700年の歴史を持ちます。城壁は内部を土で固めて外部をレンガで築く「版築」という工法で作られ、外周6.4km、高さ約12mあります。何度か改修が行われたが、1370年から当時の原型を残して、完璧な状態で受け継がれています。
城内のメインストリートである「南大街」は古くから続く商店街で、明代から続く造り酒屋「長昇源」では、西太后が逃亡中に味わったといわれる薬用酒「黄酒」が手に入ります。通りには古城のシンボルで「市楼」と呼ばれる楼閣が建ちます。昔、楼閣の下で市が開かれていたことから市楼と呼ばれるようになりました。平遥を語るなら、山西商人(晋商)、古い金融機関や古い銀行などを見ないわけにはいかない。中国初の銀行「日昇昌」は平遥で誕生し、発行した手形は当時ではまだ珍しいことだが中国各地で換金できました。
通りから一歩外れると、静かな住宅街へと一転して、中国北部の伝統的な建築様式である「四合院」という民居が立ち並びます。敷地の中央に中庭を置き、それを囲むような形で4つの建物を配するスタイルでした。現在、44の民居が観光客向けに開放されており、内部の見学ができます。
平遥古城と同じく「双林寺」「鎮国寺」も、世界文化遺産に登録されています。共に県城から車で10分前後の場所にあり、重要文化財の塑像2056体をはじめ、様々な殿閣を見学できます。