龍門石窟は河南省洛陽市から南に13kmの場所に位置しています。北魏の孝文帝時代(471-499年)に掘削が始まり、400年以上をかけて完成しました。甘粛省の敦煌莫高窟や山西省の雲岡石窟とともに、中国三大石造芸術の宝庫に数えられます。伊水のほとりの東西を山に挟まれた断崖絶壁に南北1kmにわたり、高さ17mのものからわずか2㎝の像まで、10万体余りの仏像が保存されています。特に賓陽中洞、奉先寺、万佛洞、古陽洞などが代表的です。
「賓陽中洞」は賓陽三洞の1つであり、北魏の石造芸術の代表作です。24年かけて完成しました。洞内には11体の仏像がありますが、鼻筋が通り大きな目をした本尊の釈迦や、洞内の天井部分に彫られた彫刻などは、中央アジアの芸術の香りが残っています。
「奉先寺」の石窟は長さ、幅ともに30m以上で、中の盧舎那仏座像は龍門石窟で最も大きく、高さ17.14m、耳だけでも1.9mもあり、ふくよかで生き生きとしています。「万佛洞」は長さ約500mの山洞で、洞内には15000体以上の大きさの異なる仏像があります。中には、わずか数センチの仏像もありますが、力強さは十分です。
「古陽洞」は北魏に掘削が始まりました。洞内には小さな厨子が至る所で見られ、彫刻も繊細です。また碑文などが彫られたものも数多くあります。
北魏時代の書道芸術の最高傑作と言われている龍門20品のうち19品がここにあります。