「西遞」は黟県の県城から8kmの場所に位置し、900年以上の歴史があります。古くは胡氏一族が暮らしていた土地で、凌雲閣、刺史牌楼、瑞玉庭、桃李園、東園、大夫第、敬愛堂、履福堂、青雲軒、膺福堂など、明清時代の旧民家124棟と祠3棟があり、「中国明清民家博物館」として知られています。
村全体が船形をしており、四方を山に囲まれ、2本の渓流が村を貫いています。道は石畳で水路に面し、素朴ながらも気品ある木造建築はレンガの堀で囲まれています。村の入口にある5階建て3棟の胡文光刺史牌坊は、明代の建物で、胡氏一族の輝かしい地位の象徴です。村の中央に位置する敬愛堂は、村に現存する最大の祠で、面積は1800㎡あります。
「宏村」は黟県の県城から北東10kmに位置し、南宋の紹興元年(1131年)に建造が始まりました。古くは汪氏一族が暮らしていた土地で、明・清時代の旧建築物137棟が現存しています。高い所から見ると、山の渓谷に寝そべる牛のような形をしています。村落には旧民家の白壁や瓦が整然と並びます。中でも承志堂は2000㎡以上を占め、その広大で美しい姿は「民間故宮」と呼ばれています。堂内には様々な木彫りの彫刻があり、精巧で生き生きとした様子は、現在でも輝きを失っていません。また、敬修堂、東賢堂、三立堂、叙仁堂も風格があり、素朴ながらも厳かです。
さらに、空高く聳える古木や藤の老木、庭の牡丹などによって、少しずつその絵のような情景に引き込まれます。また、この土地は一年を通して霧に覆われることが多く、名実ともに「水墨画の世界」です