山西省大同市の西16kmの場所にある雲岡石窟は、武周山の南側東西約1kmにわたって彫られた石窟群です。約1500年以上の歴史があり、中国古代の仏像彫刻芸術の早期の代表作として、その後の龍門石窟などに芸術上の影響を与えました。現存する石窟数は252窟で、大小の仏像は5万体以上に及びます。敦煌莫高窟、洛陽龍門石窟とともに、「中国三大石窟群」と称されています。これは中国の重要な文化財であり、最高ランクの観光スポットです。
制作時期によって前期、中期、後期に分かれ、それぞれの石窟様式が異なります。最も早い時期に掘削されたものは、現存の第16番石窟から第20番石窟「曇曜五窟」です。これらは北魏の和平年間(460-465年)に、当時の僧である曇曜和尚によって彫られました。力強く、重厚かつ素朴な中国西部地方の情緒を持っています。
特に第20番石窟の座仏像は高さ13.75mで、北魏の皇帝をモデルにした巨大な如来像です。がっちりとした体格で、袈裟は右側がはだけており、丸々とした輪郭に薄い唇、高い鼻が特徴的で、雲岡石窟の代表作とされます。中期の石窟は、繊細な彫刻や華美な装飾が特徴です。後期の石窟の内部は小さく、人物のイメージも痩せて美しいです。バランスがよく、中国北部の石窟芸術の典型とされます。
第5・6窟には洞窟の入口に木造の楼閣があります。5窟には雲岡最大の17mの仏像が、6窟には釈迦の誕生から涅槃までを浮き彫りにした仏伝図が彫られています。
このほかにも最大の洞窟である第3窟や、清代に色を付け重ねられたため一層華やかな第9~13窟など、見応えのある仏教芸術の世界が広がっています。