開平の望楼と村落

　開平の望楼と村落群は、中国華僑の歴史、社会形態、および文化伝統を表現する独特な建築群です。昔、開平は頻繁に水害に襲われ、社会秩序が乱れていたため、不測の事態に備えるため、また防御のために頑丈な望楼を次々に建てました。また、このような不安から清代末期から民国時期にかけて、多くの人々が新天地を求めて海外に流出しました。

　しかし、海外で成功し財を成した華僑たちは、西欧文化の影響を強く受けて帰国し、自らの成功で故郷を飾り立て、また賊から財産を守るために中洋混合式の立派な望楼を建設するようになりました。最盛期にはその数が3000棟以上に及びました。

　開平市内の望楼は数十キロにわたって縦横に並び、独特な景観を形成しています。望楼は一般の住宅よりも高く、壁は丈夫で厚く、窓は高い位置にあり小さく、外側には鉄格子や外敵を防ぐための鉄板の窓と扉が付けられています。華僑たちは世界各国の建築芸術設計を参考にし、石、レンガ、版築、コンクリート、鋼材などを使い、丈夫で耐久性に優れた建物を建てました。望楼の最も魅力的で際立った特徴は屋根で、中国式建築の特徴を取り入れつつ、中洋混合式、ローマ式アーチ、アメリカ城砦式、欧米の別荘式、庭園式など、多様なスタイルが見られます。

　望楼は機能面から見ると、衆楼、居楼、更楼の3つに分類されます。衆楼は全村または数軒の家が共同で建てたもので、緊急避難用に各家に一部屋が与えられます。居楼は裕福な家々が独自に建てたもので、生活や防御の機能を持ちます。高層で広い部屋があり、生活に必要な施設が完備されています。更楼は山賊を見つけるための警備の役割を果たし、主に村の外の丘の上や川岸に建てられました