主に福建省西部と南部の山中に点在し、独特な建築スタイルを持った客家(漢民族)の民家建築です。福建省永定県の高北土楼群、洪坑土楼群、初渓土楼群、衍香楼、振福楼や、南靖県の田螺坑土楼群、河坑土楼群、和貴楼、懐遠楼や、華安県の大地土楼群などがあります。
宋元時期に見られ始めた福建土楼は、地震対策、防火、獣や外敵の襲来に備えて造られた大規模な山岳民家建築です。素材は土や石、木材などで、冬は暖かく夏は涼しいです。中には生活に必要なものがすべて揃っており、一つの村のようです。百何十世帯が一緒に住むこともあり、外との接点を持たずに数カ月籠城できたと言われています。
土楼のデザインは、円楼、方楼、五鳳楼、凹字型、半円型、八卦型などがありますが、円楼と方楼が多く見られます。簡単な幾何学模様の建築物で、周囲の自然景観と強烈に対比しつつも一体となっています。円楼が一般的に面積も広く、最大のものでは直径71mに達します。通常は最下層が食事調理スペースで、2階が倉庫、3階より上が居住空間となっています。永定土楼は独特の円楼デザインであり、福建土楼の代名詞となっています。
方楼は一般的に正方形か正方形に近い形状の高い塀を備え、それに沿ってその他の建築物が広がっています。階層の使われ方は円楼と同じですが、高いものでは6階建てに達し、木製の床や梁が用いられ、瓦屋根です。