中国の雲南省には、紅河ハニ族イ族自治州と呼ばれる区域が存在しています。この自治州の名称にもある「ハニ族」と呼ばれる民族は、長い歴史をかけて大規模な棚田が拡がる景観を造りだしてきました。この自治州で見られる景観は、文化遺産としての価値を認められて、2013年に紅河哈尼棚田群の文化的景観という名称で世界遺産として登録されました。ハニ族の棚田は、世界レベルで見ても、屈指の規模を誇る大きさの棚田として知られています。この棚田の造営が着手されたのは、8世紀頃のことではないかと言われています。そうして造営が開始されてから現在に至るまでの1000年以上という膨大な年月をかけ、この棚田は、自然環境をうまく活かしながら、営々と築き上げられてきたと考えられています。我々が生まれるよりもはるか昔から、脈々と受け継がれてきた、ハニ族の所産は、現在を生きる我々にとって、彼らの歴史の重みに触れる素晴らしい創造物となっています。