雲南省南西部に位置する景邁山(ちんまいさん)一帯は、なんと樹齢2700年というチャノキがあることで有名です。ここは樹齢1000年の野生と栽培されたチャノキが半分ずつ残り、樹齢100~1000年のチャノキが生い茂るといった非常に保存状態の良いプーアル茶の古茶園が存在します。
そもそもこれらのチャノキは現在でも雲南省に住む少数民族プーラン族によって、2世紀ころに発見され、3世紀ころからチャノキの栽培と茶の取引が始まり、1800年にわたって栽培・定住・開発が続けられた地でもあります。
古茶園は、主に標高1250〜1500mの山岳地帯に分布しており、3つの茶園があります。合計で約113万本のチャノキが植えられており、最古のものは1400年もの樹齢があるというほどで、平均樹齢は約200年にも達しています。一般的に茶園というと段々畑ですが、ここは上部に樹木層、中部に低木層、下部に植生層という特別な環境であり、肥沃な土壌である一方、病気や害虫の被害が少ないといった効果もあり、これらはこの地の人々によって生み出された知恵でもあります。
この地は山深い地ではありますが、チャノキの栽培によってタイ族、プーラン族、ハニ族、ワ族と少数民族が集まるエリアであっても友好的な関係が築かれ、8つの集落が点在し、約1500世帯が暮らしています。住宅は茶を乾燥させるためのバルコニーを備えた2階建ての杭上住居が多く、茶をイメージした装飾なども見られます。ここは茶の産業から言語、習慣、建築などにも影響が与えられ、宗教も仏教だけでなく、チャノキを発見した先祖を祀る儀式まで行われています。