貴州省の赤水(せきすい)は、四川盆地と雲貴高原の境に位置する中国最大の丹霞分布エリアです。赤い丹霞壁や切り立った尾根など、高原の急な隆起と強い水流がえぐれた地形を生み出しました。
赤水を流れる赤水河は中国の国酒として有名の「茅台酒」の水源地です。美味しいお酒を生み出す河なので、「美酒河」とも呼ばれています。
赤水河の畔に位置する赤水丹霞は2010年8月に世界遺産に登録されました。 赤水の丹霞を形成する岩には鉄分やマンガンが含まれており、それが丹霞地形の赤色を生み出しています 。しかし、丹霞の多くは緑に覆われており、ところによっては地色の赤が見えにくいほどです 。そのため、「緑の丹霞」の異名も付いてあります 。
数千もの滝が点在して、渓谷丹霞の代表ともいえる赤水丹霞は、国家クラスの景勝地でありながら自然保護区です。面積は1000平方㌖以上に及び、南天竹や原始森林、ジュラ紀から続くヘゴなど古い植生が見られます。燕子岩国家森林公園、十丈洞大瀑布、佛光岩の3箇所は赤水丹霞の観光ポイントとなります。
長さ1000m、高さ300mの赤い壁から一筋の滝が、流れ落ちる様子はまるで花嫁のヴェールのように美しいです。下から見上げる光景は滝と丹霞地形の調和がとても壮観です。
また、佛光岩への1kmほどの道のりには、高さ10mになる「桫欏(ヘゴ)」が生い茂っています。ヘゴは2億年前ジュラ紀や白亜紀時代、草食恐竜の主な食べ物でした。氷河期から残る生きた化石とも呼ばれ、赤水一帯には、数万本が生い茂り、世界でもめったに見られない珍しい風景が広がります。