12月1日、大阪と東京からそれぞれ出発した130名以上のパンダファンたちが、ジャイアントパンダの故郷である四川省を訪れる旅に参加しました。彼らの目的は、中国で最大規模の海外出身パンダファミリー「パンダファミリー」との再会。特に、2022年2月に和歌山から成都へ帰郷した姉妹パンダ「桜浜」と「桃浜」の10歳の誕生日を祝うことが、この旅の大きなテーマでした。
この特別な旅は、中日ジャイアントパンダ共同繁殖研究30周年を記念して、中国駐大阪観光代表処とアドベンチャーワールドが共同企画したもの。日本の大手旅行会社(JTB、HIS、日本旅行)との連携で実施されました。「アドベンチャーワールドの飼育員とともにパンダファミリーを訪れる旅」というテーマのパッケージツアーは9月16日に販売が開始されるや否や即座に定員が埋まり、その後増員されるほどの人気を博しました。
旅の初日、参加者たちは早朝から成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地に集まりました。特に「桃浜」がいる望月館を目指しましたが、健康上の理由で姉妹パンダの公開は控えられる可能性があるとの事前連絡がありました。それでも、「会えなくても想いは届く」という前向きな気持ちで待ち続けるファンたち。
そんな中、奇跡の瞬間が訪れました。「桃浜」がゆっくりと姿を現し、観覧窓の前に進み出たのです。彼女は悠然と南瓜を手に取り、背を向けながら誕生日特製の食事を楽しむ姿を披露。その愛らしい様子に、観覧していたファンたちからは自然と歓声が上がり、感動のあまり涙を浮かべる人もいました。シャッター音が鳴り響く中、思い思いの瞬間をカメラに収める姿が印象的でした。
その日の夕方、ホテルで開かれた「桜浜」と「桃浜」の10歳の誕生日パーティー。これはアドベンチャーワールドの若手スタッフが心を込めて企画したもので、ファンたちにとって忘れられない特別なひとときとなりました。
パーティーは、全員で歌うバースデーソングからスタート。姉妹の成長を振り返る貴重な映像が上映され、懐かしい思い出が次々と蘇りました。さらに、姉妹を担当する飼育員が登壇し、日常のエピソードや性格の違い、愛らしい一面について語りました。中日共同研究の30年にわたる歴史や、浜家族の誕生に至る背景が紹介されると、会場は一層の感動に包まれました。
パーティー後半には楽しい企画も盛りだくさん。「双子を見分けるゲーム」では、ファンたちが桜浜と桃浜の細かな違いを観察して答える姿に笑い声が絶えず、パンダグッズが当たる抽選会では大きな歓声が上がりました。最後には全員で記念撮影を行い、「桜浜と桃浜は可愛い!」という掛け声で締めくくられました。その姿は、ファンたちの深い愛情を象徴していました。
この旅の様子は日本のパンダファンにもなじみのある中国のパンダチャンネル「iPanda」(CCTV国際ネットワーク有限公司所属)が密着取材を行い、感動的な瞬間の数々が記録されました。iPandaとアドベンチャーワールドは今年、新たに戦略的提携パートナーシップを結び、今後もジャイアントパンダの魅力を広める活動を強化していく予定です。
この旅の背景には、中日両国が30年間にわたり続けてきたジャイアントパンダ共同研究の成功があります。このプロジェクトの成果として誕生した「浜家パンダファミリー」は、海外最大規模を誇り、これまでに17頭の子パンダが育成されました。そのうち13頭が中国に帰国し、さらに20頭の子孫を残しています。この取り組みは、動物保護のみならず、両国間の友好と協力の象徴でもあります。
12月6日までの旅程では、参加者たちは雅安碧峰峡や都江堰のジャイアントパンダ保護研究センターを訪問し、保護活動への理解を深めると同時に、世界遺産である楽山大仏や都江堰を巡り、本場の四川料理を楽しむなど中国文化に触れる機会を得ます。こうした体験を通じて、ジャイアントパンダを軸とした観光商品のさらなる発展が期待されています。
中国駐大阪観光代表処とアドベンチャーワールドの取り組みは、これからも中日両国の絆を深める架け橋として機能し続けるでしょう。そして、「浜家パンダファミリー」が紡ぐ感動の物語は、これからも多くの人々に愛されていくに違いありません。