盧山は、江西省北部の九江市の南に位置し、東は鄱陽湖に接し北に長江を望む中華文明発祥の地の一つであります。総面積302㎢のうち山岳面積は282㎢、主峰の大漢陽峰は標高1474mです。「断崖絶壁、雲海、瀑布」と三つの景観に代表される素晴らしい自然と、この一帯の仏教寺院、道教の廟観、理学思想が独特な形で融合し、中華民族の精神と文化的生活が密接に結びつき、美的価値を合わせもった文化的景観を生み出しています。 4世紀から宗教が盛んで、寺院や廟などが多い時で500ヵ所余りに達しました。391年に名僧慧遠が東林寺を建立してから中国仏教浄土宗の中心となり、山頂には現在でも仏教、道教、イスラム教、カトリックの寺院、廟、教会などがあり、宗教が共存するという珍しい現象が見られます。「白鹿洞書院」は中国古代の最初の高等学府であります。中国古代の四大書院の雄であり、宋朝の理学の巨匠朱熹もここで学びました。清代の光緒11年(1885年)から現在にいたるまで避暑や療養地として利用され、ロシア、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアなどの牧師、商人や、要人が公館や別荘を建築したため、スタイルの異なる別荘が険しい山中に立ち並んでいます。陶淵明や李白、杜甫らが愛した「盧山」の風景は、書道や山水画などにその幽玄な美を多く残しています。また鄱陽湖の野鳥保護区で見られる白鶴は世界一の群れを誇りました。