北京中心部から西北に10km程離れた郊外にある「頤和園」といます。清朝の乾隆15年(1750年)に造られましたが、1860年の戦火で激しく破壊され、1886年に西太后が修繕を行いました。中国では最も完備に保存された皇室の大型庭園であり、世界でも有数の名園です。
庭園は万寿山と昆明湖を中心とし、総面積は約290haあります。そのうち昆明湖は全面積の四分の三を占め、湖水に映る建物や橋、樹木の佇まいがいっそう趣深い情景を作り出しています。園内は「仁寿殿」を中心とする皇帝が政務を行ったエリア、「玉瀾堂」「楽寿堂」を中心にする皇帝、皇后の生活エリア、万寿山と昆明湖をめぐる風景遊覧エリアの三つの区域に分かれており、西山の峰々を借景に、様式の異なるさまざまな建築物と園内の山と湖が一体となって絶景を創り出しています。
「仏香閣」は、園内で最もすばらしい建造物が集まる万寿山前山の建築群の一つです。高さ41mですが、石造りの20mの土台の上に立ち、庭園を象徴するのにふさわしい壮麗な姿をしています。また、万寿山の下、昆明湖のほとりには三つのエリアをつなぐ全長728mの「長廊」があり、緻密で華麗な絵画で彩られています。その西端の湖水には、石塊を彫刻した長さ36mの洋風石船が浮かび、美しい姿を水面に映しています。湖に架けられた「十七孔橋」は漢白玉石の欄干にそれぞれ形の違う獅子540体がずらりと彫られ、庭園を代表する風景となっています。後山にある「蘇州街」「諧趣園」などは前山とは異なる雰囲気で、蘇州庭園をモデルにした庭園です。