澳門(マカオ)は重要な国際貿易港として、16世紀にポルトガルによる植民地支配が開始され、1999年になって中国に返還されました。残存する古い街道、地域、ポルトガル式や中国式の建築物によって、澳門は東西の文化、建築物、科学技術が行き交っていた時代の生きた証人となっています。これらの史跡の中には、要塞や中国最古の灯台が立っており、中国と西洋世界との初期における交易を見続けてきました。
澳門の世界遺産エリアは旧市街地を中心にして、隣接する広場や大通りが連なるように形成されています。
媽閣廟、港務局、隣家屋敷、聖ローレンス協会、聖ヨセフ修堂院及び聖堂、ドン・ペドロ5世劇場、ロバート・ホー・トン図書館、聖オーガスティン教会、民政総署、三街會館(関帝廟)、仁慈堂、大堂、盧家屋敷、聖トミニコ教会、聖ポール天主堂跡、ナーチャ廟、旧城壁、モンテの砦、聖アントニオ教会、カーザ庭園、プロテスタント墓地、ギア要塞など22ヵ所の建築物と、それらの建築物にそれぞれ密接に関連するバラ広場、リラウ広場、イエズス会記念広場、カモンエス広場など8ヵ所の広場があります。
ここは中国と西洋の特徴を有する建築物が多く集中、共存する歴史建築エリアで、400年以上にわたる中国と西洋文化との交流の結晶とされます。16世紀中頃、明朝政府は澳門半島南西の一部を、ポルトガル人を中心とする外国商人が住居したり貿易を行ったりする場所として提供しました。これが国際都市・澳門の誕生であります。現在の澳門の歴史建築エリアは、当時の中心地に当たりました。かつて中華文化と西洋文化が混在した旧市街地は、400年以上が過ぎた現在でもなお当時の面影を残すとともに、「中国で一番」を数多く打ち立てています。澳門の歴史エリアには、中国最古の教会の遺跡や修道院、最古のキリスト教の墓地、最古の西洋式砲台などの建造物があります。その他にも、中国初の西洋式劇場、近代的灯台、西洋式の大学などがあります。
澳門の旧市街の多くの建築物は、中国と西洋の特色をあわせ持っており、現在も本来の機能を保ち続けています。澳門の旧市街では、多様な宗教文化が栄え、カトリック、プロテスタント、仏教、道教、媽祖などが現存しています。大三巴牌坊は東西の宗教が互いに融合した最高傑作とされます。